借りていた店舗を退去する。退去時には原状回復が必要です。
賃貸店舗を退去する。その場合、基本は借りた時の状態に戻すことになります。
店舗は入居される業種によって、内装や造作を作ったり設備を入れたりします。
また、看板を設置したり入り口を変更したりもします。
販売のお店だったり、飲食店だったりその内容によって、おしゃれに或いはきちんとした感じになどインテリアから全てこだわられる事が多いと思います。
それは、売上に直結すると言ってもいいくらいですね。
その店舗として内装を変更したりする場合、基本的に貸主の了解を得ていることが条件となります。
そして、退去の時には通常現状回復工事を行います。
もちろん、契約内容や貸主との話し合いにより異なるケースもあります。
店舗の契約時の状況がはっきりしていない。それでは後で困ります。
先日、解約した店舗がありました。
その店舗は貸主も借主も管理会社も途中で変更になっています。
変更になりましたが、その都度賃貸借契約はそのまま継承する形をとっていました。
初回契約は15年以上前。当時の契約書はあまりにも簡単なもので、どのような状態の店舗を貸したのか、どういう条件をつけたのかなど不明でした。
借主も貸主も、契約書を作成した不動産会社もそれでよかったのかもしれませんが、後になって書面を確認しても何もわかりません。
その後、貸主も物件を売却しそれに伴って管理会社も変更しました。
その管理会社は、きちんとした会社でしたので、契約内容や原状回復について不明点を改めて確認する作業を行っていました。
そして、それを文書にして残してくれていました。
そこで初めて、基本的にはスケルトン渡しでスケルトン戻し(全く何もない状態で貸して何もない状態にして戻す)という事が確認されたのです。
その後借主は飲食のお店をやっていたのですが、売り上げも思わしくなく廃業したいといってきました。
前借主から事業毎引き継いだ新しい借主。契約時の条件は引き継いでいます。
それから、廃業予定だったお店をそのまま引き継ぐという方がありました。
賃貸条件は、そのままで契約も引き継ぐ事になりお店は継続しました。
ですが、それから数年でやはり売り上げも思わしくありません。結局お店は閉めることになってしまったのです。
賃貸の契約条件は、そのまま全て引き継いでいます。
当然、退去にあたってはスケルトンで全くお店の中の設備を全て撤去してもらい何もない状態にしてもらわなければなりません。
また、解約の申し出は3カ月前にするという契約なので、申し出から3か月間の賃料も発生します。
契約を引き継いだ借主は、その状況を全く理解していませんでした。
以前の借主ときちんと契約内容を確認していなかったようです。
まず、3か月分の家賃はお店を閉めても払わなければなりません。
更に、長年使用していた業務用の流しや冷蔵庫など大きな設備を撤去して処分しなければなりませんでした。室内を壊して処分するのは、かなりの金額がかかります。
また、以前の借主が一時家賃を全額払えなかった時があり、貸主の承諾のもと賃料を減額した時期があり退去時にそれを支払う約束となっていたのです。(書面あり)
借主はそれも聞いていませんでした。
わずか数年であまり利益も出なかった商売の上に以前の借主の言ってみれば負の遺産を引
きついでしまった借主。
明け渡しの為に必要な事を説明していくと、あまりにもわかっていない事に驚きました。
気の毒ではありますが、お店を引き継ぐのにあたり、あまりにも簡単に引き継いでしまっていたようです。
結局、お店も廃業し片付けにたくさんの費用がかかってしまった借主。
気の毒ではありました。でも事業用の賃貸借は住居用と違います。
契約により返す時の条件も借りる時の条件も異なります。
その内容をきちんと理解しないと大変です。
あくまでも、事業の為なので入居者の権利が強いのでもありません。
契約書もよく理解して頂きたいと思います。
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