何十年も管理すらされないビル ① 崩落寸前!
バブル期に建てられた分譲マンションです。建築当時は駅にも近く資産価値もあると、結構な金額で売られました。販売当時から、管理規約なども全くないどころか、管理組合或いは自治会などもありません。
もちろん、管理費、修繕積立金なんてありません。そして、販売した会社が何となく管理をしているような形でしたが、その会社もバブル後破綻。そのマンションは誰も面倒を見ることなく、宙に浮いた形となっていました。
それでも、新しい内は特に所有者も将来の保全など考える事もしませんでした。
年数が経っていくと、それぞれの部屋は多くは投資用として転売を重ねていきました。そして、ビルの管理、建物全体の事なんて誰も考えませんでした。
賃貸に出す所有者は、当然その室内だけを修理、改修。部屋によってはベランダ一杯に物置を置いたり廊下に大きな水槽をいくつも置いたり、屋上はゴルフ練習場のようになったり、と本当に無法地帯のようなビルとなって行きました。
もう限界!この建物を何とかしなければなりません。
そんな状態でしたが、遂にほったらかしではいられない状況となりました。
建物は古くなって来たときこそ、それまでの管理状況で全く違ってきます。
ちゃんと定期的にメンテナンスをしたり、手を入れてあげていれば、元気で若々しくいてくれます。人間と同じです。
外壁についていた照明が壁と共に風で倒れてしまう。窓下についている花台(小さなバルコニーのようなもの)の排水口が苔や泥でつまってしまい、溜まった水が下の階の室内に水漏れを起こしてしまいました。
塗装や防水工事も数十年行っていないので外壁もクラック(ヒビ)が入り表面のモルタルはチョーク化現象と言って、指でさわると粉のようになっています。
結局その都度、問題ある箇所に直接関わる所有者が、壊れた壁を撤去したり、詰まった排水口を清掃し、水漏れした壁紙を貼り替るなど取りあえず出来る範囲で処置をしてきました。
ところが、遂に外階段が腐食して使用するのが危険な状態となったのです。
いつ落ちるのかわからないので、私も上の階まで上るのをためらいました。
誰が見ても危険。何とかしなければならないのですが、殆どの人は見てみぬふりでした。
このままでは、この建物は壊すしかないのではないか、とまで思いました。
所有者が協力しなければ壊す事もできないのです。管理する人も、所有者で話し合うことも、このままでは出来ません。
そんな時、たまたま一部屋の賃貸人が退出し、その部屋の補修について、退居時精算をからみ所有者の方と話し合いする事になりました。
この、原状に接したオーナーさんは改めて何とかしなければならない、と感じました。
何とかしなければ、その思いは一緒でした。
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