危険なほど傷みの目立つマンション。 その後 ②
長年にわたり割れた軒や、外壁から侵入した雨で鉄骨も大分傷んでいるであろうマンション。
入居者もわずかとなり、改修工事をもするつもりもない。その建物は維持するのも大変で息子さんは売却を希望されました。
所有者はお母様単独です。そのお母様の不動産を処分するにあたり、その判断力があるかどうかが問題になります。
息子さんにそこをお伺いしたところ、難しいとの回答がありました。
そういう場合、勝手にお母様の名義を使用して売却する事はできません。
後見人をたてる事が必要となります。
その為には、裁判所へ申し立てをするなどの手続きが必要です。
そこで、相談できるよう後見制度を専門とする司法書士を紹介しました。
連絡がとれなくなり、そのまま建物も放置 すると、ある日突然
司法書士を紹介してから、全く連絡をいただけなくなり、何度か連絡をしても返信がなくなりました。
そして、そのまま数年がたったころ突然会社に知らない不動産会社が来られました。
その担当からは、息子さんより売却を依頼されましたので、よろしくと言うのです。
建物の状況や入居者についても、息子さんは全くわからないので取りあえず、当社に挨拶に来たそうです。もちろん、売却されるのはわかります。
そこで、お母様はどうされたのかとお伺いすると、委任状がありますとの事。
見せて頂くと、不動産売却に関する全ての権利を委任します、とお母様の名前と捺印がありました。
それを見て、驚きました。
確か、判断力に疑問があると伺っていました。
認知症と言われる方でも、お話をすると理解されているように思えるケースがあります。そして、署名捺印は出来ます。
それでも、プロである不動産会社は売りたい一心の息子さんなどにきちんとした
アドバイスと手続きを進めて欲しいと思います。
少々、やり方に疑問を持った私に、改めてご本人が近々挨拶に来ますと言われて帰られました。
殆ど瑕疵物件のような建物も売却されました。
しばらくたった頃、そのままの状態でマンションは売りに出されていました。
息子さんは、年があけたら挨拶をしに行きますなどと連絡がありましたが
結局そのままでした。
そして、修繕もされないまま建物は売却されました。
親の不動産を勝手に売却するなど、昔から聞く話しです。
もちろん、今回息子さんには、これで儲けようというつもりがあったのではなく
ただただ、面倒な不動産の片付けをしたかっただけであろうとは思います。
そして、後見人など面倒な事を言う不動産会社ではなく、取りあえず売ってくれる不動産会社に依頼したかった、と言う事なのでしょう。
そして、売却後も色々とありました。 その後についても次回お伝えします。
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