全員が10年以上住んでくれているアパート。ところが、それ故に室内の傷みに気づきませんでしたーーー
4室しかない小さなアパートです。
でも、長い間殆ど一軒も退去がありませんでした。
駅から少々遠いところにある、静かなアパート
一番短い方でも既に12年間居住。
長い方では、もう22年になりました。
全員が2年毎の更新もきちんとされます。
お家賃の遅れもありませんでした。
いい借主さんばかりだ、と大家さんは日頃から感謝されていました。
今まで、殆どクレームらしいクレームもありませんでした。
最近になって、1室が更新となりました。
更新の手続きにこられた入居者。
こちらは、いつものように
「最近、どうですか。お困りごとはありませんか?」
とお声かけしてみました。
すると、
「お風呂場の入口や、台所の床が抜けてしまいそう」
と言われます。
大家さんに報告すると
そんな事なら、すぐに直してあげて!
と頼まれました。
そこで、工事業者を見に行かせました。
するとーーーーー
室内は、大変ひどい状態に。床も抜け、お風呂も腐食。
1階のお部屋です。
お風呂場入口の床・キッチンの床。さらにはトイレの床も。
その上に立ったり、歩いてみるとブカブカと沈んでいきます。
いつ、床が抜けてもおかしくありません。危険な状態です。
ユニットバスにいたっては、壁も床も腐食。
内部に水が入っている事は一目瞭然。
大家さんから、その部屋以外の部屋も見てあげて言われました。
そこで入居してから12年目。2階のお部屋も確認に行きました。
こちらも同様。
トイレの床が抜けそうでした。
入居してから、殆どそのままの状態。
湿気の多い水回りの傷みがひどかったのです。
入居者は、こんな状態になるまで何も言いませんでした。
さすがに、我慢できない、となり
初めて、何とかして欲しいと訴えられたのでした。
2階の方などは、お声かけしなければ、そのままだったのです。
居住中の為、大掛かりな修繕工事も一苦労
もちろん、きちんと直してと大家さんは言われました。
1階のお部屋。
キッチン、浴室前の床は全て剥がし貼り替えます。
ユニットバスも壁を壊してから全て交換することに。
大掛かりな工事が必要ですが、全室入居中。
その為、お部屋から荷物を動かさなければなりません。
尚、大掛かりな工事となりました。
2階のお部屋
こちらも トイレを一旦外し
床を修理。
その後新しい便器に交換する事になりました。
工事は順番に行います。
そして、工事を進めている内には他のお部屋の方も気づきます。
2階の修理予定のお部屋。
そこは、今までにあまり修理したことが無いお部屋でした。
その為、こちらから逆に様子を聞いて状態を確認し
今回脩るすることになったのです。
すると、そのお部屋以外からも
「うちも見て欲しい」と言ってきました。
見てみると、どこも同じような状態。
程度の差はあれど、床抜けもお風呂の腐食もありました。
他のお部屋の方から様子を聞いて
うちも!
となるのは当然でしょう。
結局、そのお部屋も修繕することになりました。
入居中のお部屋で大規模な修繕。なぜ、ここまでひどくなったのでしょうか。
結局、殆どのお部屋で大掛かりな修理を行う事になりました。
大変な出費になりましたが、大家さんは
「長い間住んで頂いているから」と気持ちよく応じられました。
でも、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。
大家さんは、決して修理を嫌がるようなかたではありません。
ここまで、ひどくなる前に対処していれば
入居者も我慢を重ねることなく、
大家さんも、そこまで多額の費用をかけずに
すんだかもしれません。
原因の一つとして、このアパートは入れ替わりが無かった事もあります。
通常、入退去があれば、次の方の為に修繕を行います。
傷んだ箇所や、古くなった設備の交換も適時行います。
それが無かったのも大きな要因でしょう。
ただ、入居している間であっても、不具合や傷んだ箇所があれば
当然 貸主に連絡しなければなりません。
我慢すればよい、のでは決してありません。
傷んだ箇所を放置しておいた為に、被害が大きくなる。
その場合、早めに連絡せず被害を大きくした入居者に対し
損害賠償を求めることもできるのです。
入居中の不具合は早めに連絡。更に入居者は、きちんと維持管理する義務があります。
確かに困りものです。
ですが、何も言わないのも時と場合によっては困るのです。
入居者は、借りているお部屋を管理する義務もあります。
住み方によっても、お部屋の傷み方は違います。
10年、20年と住んでいても、きれいに住んでいる方もいます。
掃除は普通に行い、換気もきちんとする。
普通に維持管理を行ったうえで
不具合があった時には、早めに貸主に申し出る。
それが、結局は貸主・借主双方にとり良い結果となります。
文句を言わない借主さんで良かった。
と言うのは、少々考えものかもしれません。
関連した記事を読む
- 2024/11/20
- 2024/11/19
- 2024/11/18
- 2024/11/17